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zoom RSS ミニョネット(2)『ミニョネット風アップルパイ』『栗のパイ』『ラングドブッフ』『バトンフロマージュ』

<<   作成日時 : 2006/12/10 22:27   >>

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阪神・岩屋駅から西へすぐのところにある「ミニョネット」(小さくて可愛いという意味)さん。2回目の登場です。
シェフの向井昭裕さんは岡山の「スーリィ・ラ・セーヌ」で修業された方。スーリィさんのことは知らなかったのですが、東京の名店「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」の初代スー・シェフを務めた安原さんのお店だそうです。ですから、向井さんは弓田シェフの孫弟子に当たります。もちろん、東京の弓田さんの所へも何回も通われたそうです。
レパートリー的には焼菓子のレシピはほとんどが「イル・プルー…」のもの。生ケーキは半分くらいがそれで、残り半分はオリジナルとのこと。
どのケーキも焼き菓子もどこかキリッと引き締まったいい姿、おいしそうな顔をしています。


画像●『ミニョネット風アップルパイ』 辺9cm、高さ(最大)5cmほど。
これは名前通りオリジナルでしょう。
パイの上にクレームダマンドが敷かれ、その上にジョナゴールドの薄切りが山ほど。そこには、紅玉のジャムが加えられています。構成はそれだけです。
ジョナにはほとんど砂糖が加えられず、シャキシャキとした適度な歯触りと馥郁とした香りが残り、リンゴの魅力をたっぷり味わえます。そして、ジョナでは少し不足する酸味を紅玉のジャムで補われています。
ジュースたっぷりのケーキなのにパイは芳ばしくサクッサクッ感もしっかり残り、心地いい食感。ダマンドがジュースを吸ってくれているのと、全体の甘みのバランスをとる役割も果たしているようで、よくまとまった味わい。
すべての素材、工程がリンゴを美味しく食べさせようと一致協力している感じで、とても素直に、本当に素直に、美味しいと思える点が最大の美点ではないでしょうか。
家人と半分個にして食べたので、2個、いや4個購入すべきだったと後悔しました。ほんと、「おいしいねぇ〜」と頬がゆるんでくる風味の良さです。
数多く食べてきたアップルパイのなかでも出色の出来。お見事っ! 

紅玉の出盛りの時にはすべてが紅玉だったそう。紅玉の栽培が減っていて、出回る期間が短いのでシェフが一番気に入っている味に出会えるのはほんの短期間です。
代替品のジョナゴールドでこれだけの素晴らしい味なのだから紅玉ならどれだけ、とまた想像がむくむくと膨らんでしまいます。
来年は紅玉の時期に必ず行こうっと。またしてもお気に入りがひとつ、増えていく幸せ!


画像●『栗のパイ』 径6cm、50gほど。
シンプルなマロンパイですが、手剥き自家製の煮栗からのスタートなので、とても手間の掛かったお菓子。熊本産の栗だそうです。
たまたま私も熊本の栗を送ってもらっていた時期があり、手剥きの経験がありますが、とても大変。できることならやりたくない。でも、苦労した後の季節の恵みの美味しさは格別でもありました。
こちらのお菓子の話に戻しましょう。
薄いパイ生地にクレームダマンドをまた薄く敷き、そこに手間の掛かった煮栗を乗せ、丁寧に包み込んで、丹念に根気よく焼き上げてあります。
焼き色の美しさ、半分に切り分けた時の断面の美しさ。これほど均等に、几帳面に完成している成型もめずらしいです。
味は奥様が説明してくれたように、本当に薄味。煮栗は栗本来のほのかな甘みが感じられるほど砂糖が控えられています。そして、和栗の懐かしい香りもふっと漂ってきます。
これを洋菓子のマロンパイとして成り立たせているのは、ダマンドのうっすらとした甘みとよく焼けたパイの香り。余分なものをぎりぎり削ぎ落としたなかで、最低限の要素が輝きを増す、素材の個性を突き詰めた熟練の職人ならではの、底光りする技の冴えだと感じます。
単純に甘さの美味しさや華美に走らず、地味に美味しいことを守りつづける精神も賞賛に値すると思います。


画像●『ラング・ド・ブッフ』 11cm、20gほど。
ネコの舌ならぬ、牛の舌。弓田さんのお得意のレシピの再現。
昨今はタン塩ブームで牛の舌に抵抗感がなくなったでしょうが、昔はちょっとグロなネーミングと思われたでしょうね。
要するにリーフパイの変形なのですが、そのネーミングがぴったりのぼてっとした外観と重量感をそなえたパイです。この洒落っ気、いいですねぇ。
パイの各層が1枚1枚ハラハラと崩れるのに、しっかりとした手ごたえのある焼き上がり。カラメリゼの強さともあいまって、ザックとした強い歯触りが楽しめます。
カラメリゼは色の濃さ、香りの濃さ、コクの深さにつながっています。そして、焦げる寸前まで焼き込んだパイの深い香りとカラメリゼの濃厚さがちょうどいいバランス。
リーフの部類ではもっとも食べごたえのある、力強く満足感の高い逸品でしょう。


画像●『バトン・フロマージュ』 8cmほど。
パイのアリュメットにエダムチーズがたっぷりと。ほんのかすかな胡椒がピリリと味を引き締めています。
小さな棒切れですが、チーズが焼けた濃厚な香り、パイのさくさくとした食感が際立ち、存在感のあるパイです。
こういう塩味の名品をもっともっと開発してくれないかなぁ。
食事にも、酒の肴にもぴったり、ビールにも白ワインにも相性がよく、お菓子の世界がどんどん広がる気がします。



「ミニョネット」さんは店名通り、小さく可愛い空間ですが、立派なオーブンを置いてらして、焼くことにたいする意欲の強さが現れています。
店内には、生ケーキ、焼菓子、チョコレート、フルーツゼリー、ジャム、ギフトパッケージ…と多彩なお菓子たちが楽しそうに並んでいます。商品ジャンル、アイテムとも盛り沢山。
作りたいもの、食べてもらいたいものが、もういっぱい! という情熱が伝わってきます。
シェフの熱意とお客さんとの架け橋になっているのが、満面笑みの大らかな奥様。元々9年間もパティシェールだったということもあり、商品の説明も適確、なにより明るいし親切なので気持ちよく購入できます。
毎回、期待いっぱい楽しい気分でケーキに向かうことができるのです。こういうコミュニケーション能力って、パティスリーには絶対なくてはならないものですね。

作り手と販売する人、その両方がじつに楽しそうなので、しぜんとこちらの心があったまってきて……北風ぴーぷーでも、まったく大丈夫。とても素敵なお店です。



●『ミニョネット風アップルパイ』336円  『栗パイ』280円  『ラング・ド・ブッフ』157円  『バトン・フロマージュ』126円(6本入り)

●「アトリエ ミニョネット」
 神戸市灘区岩屋北町5丁目1−11
 TEL078-882-1181   定休日/月曜

※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/)、はじめました。よかったら、どうぞ。

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