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zoom RSS 2016年11月オープンの新店! 焼き菓子の里(1)『ツイスト(レモン・ピスタチオ)』

<<   作成日時 : 2017/05/18 21:21   >>

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「焼き菓子の里」さん、2016年11月1日オープンの新店です。
大阪市東淀川区菅原、阪急電鉄の京都線と千里線が交わる交通の要衝・淡路駅から北東に10分ほどのところにあります。
1979年生まれの古井和也シェフがご実家を改装して開いた焼菓子専門店。23歳の時に渡独、ドイツ10年ルクセンブルグ1年、製菓マイスターの資格も取得しています。

お店はお客さんが3人も鉢合わせすれば身動きが取れないな、というほどのささやかな体裁。商品を並べた棚もショーカードも素朴で、そうそうご実家である佐賀で拾ってきた流木も飾られています。なんとも、手作り感満載。
だけど、なのです。この表向きに騙されてはいけません。日中短時間お母さんがお手伝いするとはいえ、シェフ一人で40種類もの焼菓子を焼いているのです。同じ生地の変形というのが少なく、手間暇掛かる道を平気で押し進んでいます。
それに注文があれば、生ケーキのアントルメも作るし、グルテンフリーのアレルギー対応もするという懐の深さがあるところが、最近の焼菓子店ブームとは明らかに一線を画していると云えるでしょう。

さらに。季節ごとに商品を入れ替えて季節感を重視したいというのですから、そのレパートリーは恐るべきものがあります。人気のある『キップフェルン』もクリスマスシーズンのお菓子だからと、シーズンが終了したらきっぱり作りません。人気ということは売りが立つ、わけですが、それよりもシェフは一年ぶりに巡り会う季節とそのお菓子の歓びを大切にしているようです。
と聞くと、執拗にかたくな、という印象を抱きがちですがそんなこともなく、例えばキップフェルン生地を使った『月光の雫』というお菓子は夏冬2ヴァージョンで通年対応する柔軟性も持ち合わせています。
商品構成や素材への強いこだわりと現実対応の柔軟なアイデアとの微妙なバランスの上に成り立っていると、私たちは感じました。

オープン半年ですが、東京方面からも注文があるほどに認知が広がっているようです。そういえば、『シュトーレン』は120本完売。すでに、こちらの美味しさに虜になっているお客さんがいるのですね。順調でなりよりです。


●『ツイスト』  13.3×1.8cm 厚み1.5cm 30g(3本)ほど。
画像
今回パイは、1点あったのみ。
“マンデルブレッツェル”の変形版です。

パイ生地とクッキー生地を張り合わせ、細く切ってくるくると捻って形作る(ドイツのパン屋さんの看板)、少し歯ごたえのあるお菓子。

そのままでも十分美味しいのですが、形をサクリスタン型に作り替えるだけでなく、クッキー生地に見えないくらいに小さなレモンとピスタチオを煉り込んでいます。

サクッ! ほわん、と甘い香りが広がります。
軽快で清潔な味わいなんだけど、コクと奥行きを感じますね。明確にピスタチオの香りが立ち上るというのではないのですが、油脂感と独特の甘味がコクを作り出しているのでしょう。
最後にフッとレモンがどこか遠くで香っているような感覚も。清潔感の源はコレですかね。

古井シェフの話では、ピスタチオに柑橘を合わせるとお互いを引き立て合う、とのこと。
食べた印象では、期待したほどにピスタチオを感じませんでした。おそらく、使っている量以上の働きをしているということなのでしょうね。

ともかく、この小さなお菓子一つでブログ1頁を保たせるのはしんどいのかな、という危惧を吹き飛ばしてくれるほどに美味しいお菓子であり、パイ生地のサクサク感が絶妙に活かされたお菓子に仕上がっていたのでした。
さらに嬉しいのは、わずかこれだけの用途のためにも、ちゃんと手折りしてくれているということ。労を惜しまないシェフですね。


なお、6月からはビールのアテとして、桜えびパウダーを練り込んだサレ系のパイ(その鮮やかな色といったらもぅ)を出すそうです。
たまたま試作品をもう一人のお客さんと一緒にいただきました。
“いけるっ! 海老煎餅だぁ”、さっそくビールが欲しくなったりしたのでした。




オーナーシェフの古井和也さん、経歴も一筋縄ではいきません。幼少の頃から興味は“食”のことばかりだったようです。保育園の時には週1回のパンの給食が大好きで「パン屋さんになる」と宣言。小学校の時には家庭科で習った料理は必ず家でも作っていたとか。中学の時には進路を料理人と定めています。工業高校を出て、目出たく辻調理師専門学校に入学。1年目は調理、2年目には製菓のコースへ。
専門学校時代から見所があったのでしょう、卒業すると、辻の先生だった人が営むイタリア料理の店で2年ほどドルチェを担当し、最後はスーシェフ。

本格的に修業がしたくなり、ドイツへ渡ると決めました。今も当時もフランス菓子全盛時代、にもかかわらずフランスは皆が行くので最初から興味がなかったとのこと。ドイツは真面目に働けばビザがフランスより取りやすいという情報も得ていました。2年ほどアルバイトに明け暮れ、旅費を確保。
ドイツでは主に南西部、シュヴァルツバルトやライン川のある地帯で修業。10年に及ぶキャリアがあり、最後の年はマイスター学校に通い、製菓マイスターも取得しています。そして仕上げにルクセンブルクに渡り、有名な「オーバーワイス」で1年。
帰国後は、ブーランジュリー「ヴェスタ」などでお菓子の商品開発を担当。親会社の「フードスケープ」では阪急百貨店の催事やグランフロントのイタリアンの手伝いなど、豊富な経験を積みながら、素材の納入業者とのつながりも築きました。

これだけの経験と知識があるからでしょうか、お菓子作りや素材についての「これは譲れない」という強いこだわりがある一方、本質を掴んでさえいれば、「自由にやっていいんだよ」という柔軟さと愉しいアイデアに満ちているのです。


町工場が建ち並ぶような土地柄で、初めて歩いた街でしたが、お菓子の魅力とシェフの気さくな人柄に惹かれて、何度も通いたくなるお店です。



●『ツイスト(3本入)』180円  (※内税)  

●「焼き菓子の里」
  大阪市東淀川区菅原4-10-35  TEL06-6648-8357  定休日/第1・3日曜&第2・4水曜  営業時間/10:30〜19:00
  ※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらの焼菓子をご紹介しています。

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