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zoom RSS W.(ドゥブルベ)ボレロ(11) 『タルト ダブリコ』『タルト ポワール』

<<   作成日時 : 2016/12/01 21:47   >>

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滋賀県守山市。ここに全国へ向けてお菓子の新しい在り方を発信しつづけているお店があります。「パティスリー W.(ドゥブルベ)ボレロ」さん。
渡邊雄二シェフは材料費の高騰、東京のように売値を青天井にはできない地方という条件の中で、最高級の素材で最高の味わいを求めつつ、常識的なケーキの価格に抑えるための努力惜しまない人です。
お酒を安く仕入れるために酒販免許を取ったり、果実農家への啓蒙活動であったり、イタリアやスペインの現地での材料買い付けであったり、自分が動くことによってお客様に少しでも安く届けられるのであればと、休む間もなく動き回っています。
ケーキを作ることに集中するばかりで、他のことに目が向かないシェフが多い中で、パワフルな行動力に頭が下がる思いです。
さて、今回は焼きっぱなしのタルトから2つご紹介しましょう。


●『タルト ダブリコ』  径8.5cm 高さ3.3cmほど。
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大好きなアプリコットのタルトが登場していました。やったー!

底生地はパートシュクレ。
ダマンドに、一晩シロップに浸けて余分なドリップを出し切った冷凍のアプリコットを載せて焼いています。

焼き過ぎるとアプリコットから水分が出過ぎて、小さく堅く萎んでしまうので、アプリコットとダマンドが両方ともにちょうどいい焼き加減になる、ポイントの発見が重要。
ダマンドに少し粉を加えることで解決したそうです。

シュクレはサクサクと軽快。ダマンドはふっくらと優しい味わい。
アプリコットは冷凍とは思えない凝縮した味わい。甘酸っぱさがいいな。やはり一手間が利いているようです。

エッジのわざと焼き目を付けた部分がねっちりと濃厚で独特の味わい。
この強い味わいを支えているのがダマンドの杏仁香。うーむ、味わい深いですねぇ。




●『タルト ポワール』  辺8.5cm 高さ3.5cmほど。
画像
この季節の看板商品。

以前に、長文メールで教えていただいた内容を書いていますので、今回は簡単に(その時々の果実の状態によって微妙にルセットが異なるのですが)。
といっても、何度食べても、ふぅぅと甘い吐息が漏れてしまう逸品です。

こちらはパートブリゼ。
たっぷりのダマンドに、半割の洋梨がうつ伏せに並んだ格好。ホールの美しさも格別です。

もう、この完熟のラ・フランスの美味しさと来たらもうぅ! 
圧倒されますね。たしかお店で3週間ほど追熟させると伺った記憶があります。ベストコンディションまで、毎日待ち遠しいでしょうね。
シュルシュルと流れるような食感、あぁなんて瑞々しい洋梨なのでしょう。濃厚な天の恵み。
剥く時に溢れ出た果汁を煮詰めてナパージュに使っているのでしょうか。さらなる濃厚さが見事なエッジを描いています。

たっぷりのダマンドもジュースを吸ってより魅力を発揮しつつ、果肉の魅力を豊満に受け止めるのです。ツーンと鋭いほどの杏仁香も心地いい。

流動食のようなフィリングたちに一段と生命力を与えているのが、ブリゼのバターの香り、焼き込んだ粉の美味しさ、そしてサクサクとした歯切れの良さ。
香りが最後の一画となるものが多いのですが、このタルトの場合は、音によって画竜点睛を遂げていますね。
お見事です!




渡邊シェフのケーキ作りでは、フルーツが主役のものでも、載せて終わりということはあり得ません。
ヨーロッパの産地を訪ねて、どのような食文化の中で食べられ、美味しさの真価がどこにあるのかを探り当て、「では、自分はこの作り方でその真価を発揮させよう」と納得するまでは商品化しないのです。フルーツ屋さんが見本を持ってきたものを試食して安直に作るというものではない。

林檎よ、お前はどういう味なのだという外へ向かって行く追及、
自分は何を美味しいと感じるのかという内へ向かった追求、
そして歴史的にそのお菓子はどのように作られてきたのかという過去に遡る追究。

その努力の背景があるからこそ、揺るぎない個性が生まれるのでしょう。
こちらの魅力溢れるケーキに触れるごとに、小手先で捻り出したものではない、落ち着きと深さに、“作る”ということの壁の高さに思いを新たにするのです。



●『タルト ダブリコ』400円  『タルト ポワール』440円   (※外税)

●「パティスリー W.(ドゥブルベ)ボレロ」
  滋賀県守山市播磨田町48-4  TEL077-581-3966  定休日/火曜   営業時間/11:00〜20:00

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