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zoom RSS ムーラタルト(15) 『アップルパイ』

<<   作成日時 : 2016/10/27 20:59   >>

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日本一長い商店街として有名な天神橋筋商店街の中にある「ムーラタルト」さん。
17年前ほど前のオープン当時(シェフの吉野さんはまだ30歳そこそこの若さ、わぁ)から、一品一品の完成度の高さ、焼きの上手さが際立っていました。生ケーキだけに頼らず、パンを含むヴィエノワズリー、焼きっぱなし、焼菓子などの幅広い品揃えは、今も不変。流行に左右されることなく、自分の信じるフランス菓子に邁進しています。
今回はちょっと珍しい、オリジナルの『アップルパイ』をご紹介しましょう。


●『アップルパイ』   径11cm 高さ4.2cm 140gほど。
画像
フランス菓子屋さんに、アップルパイ? 
ショソンやタルトタタンはよくあるのですが、フランス菓子店ではあまり見かけませんね。

ということで、アップルパイといえばアメリカンタイプのがっしりしたものをイメージしますが、その野太さをある程度汲みつつ、フランス菓子としての魅力をどこまで盛り込めるかに挑んだパイ、だと云えるでしょう。

フィユタージュは3ツ折6回の、こちらのお店の通常の生地。
そこへジェノワーズとダマンドを薄く敷き込み、紅玉の薄切りスライスを半個分。
カソナードとシュクレヴァニーユを振りかけ、醗酵バターを薄く乗せ、ビーンズを抜いた後のヴァニラの莢、剥いたリンゴの皮は全体を覆うように被せ、さらにカソナードを振りかけ、200℃で焼き上げます。

リンゴの皮は途中で取り出し乾燥焼に。本体にポーメ30度のシロップを3、4回塗り、粉糖をかけて軽やかなカラメリゼ。もう一度皮とヴァニラの莢を合体させて、完成。


画像さて一口。
サクッ! 底の部分までしっかり焼けていますね。
こちらでは生焼けで透明感のある部分が残っているとか、オーバーして苦みが出ているといったものに一度も出会ったことがありません。まさに、焼き名人。

クリスピーなパイ生地にたいして、リンゴはとろっと柔らか。皮を被せたことによる蒸し焼き効果が発揮されています。
紅玉特有の酸味がイキイキとしているし、ヴァニラの香りで紅玉の野性味が手なずけられてエレガントな雰囲気を醸し出しています。
パリパリに焼かれた皮は本来一番味わいが凝縮している部分。それがカソナードの助けもあって、焼かれたことによるほろ苦さも含んだ、複雑で奥深い味わいが、人懐っこく笑みを湛えているのです。

そして、驚いたことに、飾りだろうと思っていたヴァニラの莢も試しに齧ってみたら、これまたポリポリと食べられてしまうのです。一齧りごとに芳香が飛び出して、ふふふっオツですなぁ。

中心から食べて行って、最後にエッジの部分へ。普通、フィリングが無くなってクールダウン、といったイメージになりがちですが、いえいえ、最後にもう一度フィユタージュの美味しさを再確認させてくれるのです。
ガッシリ感に少し目配せした分厚さなのですが、少し強めのザクサクッとした食感。ていねいなカラメリゼのおかげで甘い香りが素晴らしく、最後に特別のデザートが残っていたと思えるほど。わぉ!

なにからなにまで、絶妙。じつに美味しいなぁ。ふぅぅ、お見事です。



リンゴの皮まで食べさせて、リンゴの旨味の重層性を表現したり、カラメリゼ(シロップと粉糖で結果的にグラスロワイヤルに近いものが出来上がっています)の表情などフランス菓子の精神が生かされ、パティスリーならではの『アップルパイ』に。味だけでなくアプローチの方法も見事ですね。



●『アップルパイ』620円   (※内税)

●「パティスリー ムーラタルト」
  大阪市北区天神橋3-1-6  TEL06-6242-7177  定休日/月曜  営業時間/10:00〜20:00(日曜のみ〜19:00)


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