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zoom RSS パティスリーフィル(2) 『ガトー・オ・フィグ』『モンブラン』

<<   作成日時 : 2016/10/24 21:50   >>

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兵庫県西宮市、阪神電鉄・甲子園駅から南に7、8分のところにある「パティスリー フィル FiL」さん。
苦楽園の我が家からだと同じ市内にいながら、阪急の支線、本線、支線、阪神と乗り継ぎ、駅数6。けっこう遠いお店です。
でもなんですねぇ、行こうと思い立つとなんだかニッコリ。
というのも、ケーキの美味しさがずば抜けていたこともありますが、津田シェフ、奥様の裕美さん、揃って明るくさばけた人柄。うっかり時間を過ごしてしまう怖さがあるくらい、愉しい笑顔時間を過ごせるからです。
今回もその楽しさの余韻に浸りながらご紹介するとしましょう。


●『ガトー・オ・フィグ』  径6.5cm 高さ5.5cmほど。
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もう何度も書いてきました。無花果は鬼門です。

今までに美味しいと思えたものは黒無花果を使ったもの、焼きタルトにしたもの、ドライを戻したものなど、数点の例外があるくらいで、“フレッシュ無花果のタルト”は全滅と言ってもいいくらい。

それなのに、あーそれなのに……
奥様の裕美さんが満面の笑みで「一番人気です。リピート率もとても高いのです」と最初にお勧めしてくれたケーキなのです。

が、しかーし。心配は無用でした。軽々とクリアしてくれたのです。
パートシュクレにアールグレイとセイロンをブレンドした茶葉を加えたフランジパンヌ、表面に無花果のジャムを薄く塗って、焼き上げます。そこへパティシェールと生クリームを合わせたディプロマットを絞り、フレッシュ無花果のスライス、シャンティを載せ、フランボワーズをチラチラ。

ドキドキしながら、口へ運べば…… わぉ美味しいっ! 
フレッシュの無花果の美味しさがストレートに感じられます。新鮮でみずみずしく、そしてしゅるっとした柔らかで滑らかな口当たり、無花果の淡い香りと味わい。うんうん、これだよこれ。
と同時に、土台のシュクレ、フランジパンヌ、ディプロマット、シャンティ、そして紅茶、すべての素材が仲良く手を繋ぎ馥郁とした香りと風味を振りまきながら、高みに上って行くかのよう。
ふうぅぅ、なんて素晴らしいのでしょう。

無花果は香りや甘味が繊細で、土台に簡単に負けてしまって、味が感じられないのが普通です。
ところが、自家製のジャム(グラニュー糖とレモン果汁)を加えることで無花果の個性をそのままに負けない強さを獲得しているのです。
しかも、それがジャムがおいしいというより、フレッシュのスライスから美味しさと香りが伝わって来るように感じられるのです。うーむびっくり、見事な手腕。
さらに凄いことには、無花果は香りが土臭いイメージなのですが(シャンティにシナモンをふっているのも土臭さを意識したもの)、茶葉のスッキリした香りを添えることで、とても上品なケーキに仕上がっているのです。脱帽!!

ちなみに、季節限定。どうか間に合ってほしいな。お店へ急ごう。




●『モンブラン』 径7cm 高さ8cmほど。
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秋になると、どちらのお店もお勧めを聞くと、間違いなくモンブランが挙がるものです。
が、「定番でずっと置いていますからね、特別のものでもないし」といたって謙虚。
価格設定にしても安く、買い回り品といった位置づけのようです。
ところがどっこい。大した代物だったのです。

めずらしくシュクレにダマンドというタルト台に載った、モンブラン。
軽くシロップで炊いたイタリア栗、生クリームを絞り、ピューレ、ペースト、生クリーム、ラム酒を合わせたマロンクリームをくるくると美しく絞って、薄く粉糖をふって完成。

シュクレがとても芳ばしく、小気味いい食感、サクサクッという音を聞かせたくなるくらい。でもガチガチの硬さ・力強さではなく、優しく品のいいシュクレ。

最近主流になってきているメケンゲの土台に少しも負けていません。
全体に甘いお菓子であることに変わりはありませんが、それでもメレンゲを止めたこと、マロンクリームの糖度も少し抑えられているような印象で、軽やかに感じられます。バターも入れないタイプですからね。

そしてダマンドのおかげで、栗の風味を長く味わえるような気がします。
シュルッと消えて強烈な甘さ、香りが通り過ぎて行くようにするのではなく、口にしばらく留まる生地部分を加えることで、栗の風味をゆっくり味わうことの出来るお菓子に仕立てられているような気がしました。
これだけ存分楽しめて、この値段! いいの!?



今回も打ちのめされてしまいましたね。
企業スローガン風であまり好きではないのですが、“凡時徹底”という言葉があります。普通のことを、突き抜けるところまで徹底することで非凡に達するという意味。
津田シェフが作るケーキの一つひとつのパーツがまさにその非凡に達したもの。商品開発部門に長く在籍していて、分析的に究めた結果ということがよく分かるものばかり。
さらに、『ガトー・オ・フィグ』の茶葉で、アールグレイだけだと香りが強すぎ、セイロンをブレンドすることで香りを抑制し、紅茶自体の深みを増したように、ベストのポイントを求める繊細さを併せ持っているのです。

緻密にして繊細、だからこそ上品な優雅さを湛えた、特別のケーキが出来上がるのでしょう。ほとほと感心してしまいました。



●『ガトー・オ・フィグ』520円  『モンブラン』430円  (※外税)

●「パティスリーフィル」
  兵庫県西宮市甲子園九番町3-25  TEL0798-81-3785  定休日/水曜、火曜不定休あり  営業時間/10:00〜20:00

   ※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらの生ケーキ&焼菓子をご紹介しています。

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