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zoom RSS セセシオン(9)『トラウベン シュトゥルーデル』『白桃のミルフィーユ』『アルト ヴィーナー トルテ…

<<   作成日時 : 2013/08/01 22:17   >>

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神戸市東灘区、阪急神戸線・御影駅から南西に4分ほどのところにある「セセシオン コンディトア アテリエ」さん。
大好きなお店なのに、気が付いたら3年間もご無沙汰。私たちとしては“殿堂入り”くらいの気持ちでいたので、こんなに間があいているとは夢にも思いませんでした。
ショーケースや棚を見ると、知らないお菓子の数々が、麗しい姿で待ってくれていました。
ということで、今回の盛り沢山の成果をご覧下さいませ。


●『トラウベン シュトゥルーデル』 13×5.5cm 高さ3.8cmほど。
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以前に、リンゴのシュトゥルーデル(『アップフェル シュトゥルーデル』)はご紹介しましたが、ほかに“ブドウ”と“ルバーブ”があります。

“ルバーブ(『ラバーバ(Rhabarber) シュトゥルーデル』)”は初夏に出されていて、すでに終了。
残念、来年こそは食べよう。

今回出会えたのは“巨峰”を使った、トラウベン Trauben“ブドウ”を巻き込んだもの。
時期により、巨峰→ピオーネ→マスカットと替わっていく予定です。


画像ビスキュイを敷き、クラムを撒き、カスタード、半割にして種を抜いた巨峰が1カットのなかに10個程度かな。
生クリームや白ワインに和えて並べられ、薄く延ばした生地で包み込み、外側にグルグルと巻き込んで、焼き上げています。

サックリ、パリパリした生地を味わいながら、やや濃厚なアパレイユ的な存在とともに、巨峰のたっぷりした甘みと、皮の部分の酸味が十分に楽しめます。

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添えられている生クリームは、白ワイン風味。
甘みが控えめでワインにスッキリ感があり、シュトゥルーデル自体のしっかりした味を、重く感じさせずに食べさせてくれる名傍役です。
ふ〜わふわ。一度、味わえばその軽やかさに舌を巻くでしょう。空気の含ませ方が絶妙。すばらしいですね。






●『白桃のミルフィーユ』 内径5.5cm 深さ7.2cmほど。
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えーっ、ミルフィーユがグラスに入ってる? 冷たいミルフィーユなの? 
思わず嘘でしょと口をついて出そうになりました。

こちらでは、すでに大人気の、夏の定番ミルフィーユなのです。

飯田シェフのオリジナル。
“カップだとパイをボロボロこぼさなくていいでしょ”と気軽な発想のように、事も無げにニコニコ笑っているシェフ。隅に置けませんねぇ。

白桃はあちこちで語っていますが、ケーキの世界ではほのかな味わいで、ほとんどの場合、埋没してしまうのです。
しかも、ですよ。
ここで組み合されているのは、なんと、香ばしいパイ生地(3層)。
さらに、パイ生地をコーティングするジャンドゥヤ。強いアクセントを与える杏ジャム。フレッシュのグロゼイユ。風味付けのラベンダーの蜂蜜にオレンジ風味のお酒(ソミュール)。
もちろん、ミルフィーユですから、カスタードと、夏向きに低脂肪の生クリームの層もあります。
一騎当千の強者ばかりを相手に、何もしていない丸腰のフレッシュの白桃。あぁ、絶体絶命!

逸る心のままに、スプーンで上からグサグサ、ザクザクッ突っ込みみ、ぐしゃぐしゃに。
イケナイコトをしている気分で、ちょっと痛快です。
まぜこぜになったミルフィーユをひょいと掬って ………
  …… ふ、ふ、ふぁ はぁははは〜。これがもう、本当に美味しいのです。

ザクッとした食感やら、パイの香ばしさ、クリームの芳醇さ・しゅるしゅる感やら、ジャンドゥーヤの強さ、杏ジャムやグロゼイユのアクセント、ひんやり感やら…ふうぅ。
盛りだくさんで要素の多いお菓子なのに、どこをとっても違和感がなく、すべてがバランスがとれていて、すべての素材がイキイキと魅力を放って響きあっているのです。

それに、パイはまったく湿気ていないし、グロゼイユを生クリームで食べさせるあたりはウィーンのデザートを彷佛させるし。しかも、ひんやり冷たさが、暑い時には嬉しいですね。


“白桃の部分でホッとすると思いますよ”と、これまた、の〜んびりとした口調で、飯田シェフ。
たしかに、白桃に出会うと、一瞬、感覚の空白地帯が生じるのです。
その空白に向かって果汁が溢れてくるので、白桃は組合せからいって感じられないはずなのに、瑞々しいフルーツの美味しさに満たされるのです。

こんな離れ業、誰もやったことがないのでは、と思います。少なくとも過去に食べた1万個ほどのケーキのなかでは体験していません。
この素材の組み合わせ、味わいの妙は空前絶後! 大した発明。お見事。

しばし、陶然としてしまいました。ふうぅぅ、美味しかった、楽しかった〜 !!





●『アルト ヴィーナー トルテ』 辺9cm 高さ3.4cmほど。
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名前からすると、ウィーンの伝統菓子なのでしょうね。

似た名前で“アルトヴィーナーヌストルテ”というのは聞いたことがあります。ヘーゼルとクルミをカラメルで炊くところはよく似ていますが、ピールは入らなかったかな。

こちらの『アルト ヴィーナー トルテ』は、すでに2、3年前から置かれているとのこと。

上下に、ミュルベタイク(パートシュクレ)の生地が使われています。
表面をドリュールで仕上げて、フォークでかるくなぞって何気ない模様を描いているのですが、とてもシックな表現になり得ていますね。
間は、クルミとアーモンドとヘーゼルのプードル、レモンピールと日向夏のピールを蜂蜜と砂糖で沸騰させたネタ。エンガディナーの変形版とも言えるし、ウィーン版フルーツ月餅とも言えそうな味わい。ぎゅっと凝縮した味わいが特徴的。

ネタのねっとり感に、シュクレのサクサク感が活きています。
かなり甘くくどいお菓子のはずなのですが、レモンと日向夏のピールが物を言っているのか、少しも重苦しさがありません。
柑橘類のなかでも、もっとも個性的でありもっとも爽やかな品の良さが身上の、日向夏を選んだこと。
それが、すばらしい一手だったと云えるでしょう。いいですね、これ。





●『キルシュ クーヘン』 辺9cm 高さ4.5cmほど。
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こちらは2013年の新作。2、3か月前に登場したばかりとのこと。
一目見たときから、大好きなケーキだろうなと直感しました。

底に、ミュルベタイク(パートシュクレ)。
共立てのバター生地に、グリオットチェリーとアメリカンチェリーの2種(砂糖、キルシュ入りで炊いたもの)を埋め込んで、焼き上げます。
表面に、フランボワーズのジャム(種無し)を塗り、フォンダンの仕上げ。

生地の黄色に、チェリーの赤が映えます、混ざり気なく、純粋で深い色合い。
味わいもまさにその見掛け通り。グリオットの鋭い酸味が活きていますが、荒々しさはまったくありません。酸味を堪能しつつ、どこまでも品がいいのですね。
バター生地のよく焼き切れた、パサッとしてホロホロとはかなく崩れる食感は絶妙。チェリーのわずかな水分で、スルスルと溶けてくれます。見た目とは裏腹な軽やかさ。

かすかに塗られたフランボワーズジャムの爽やかな香りも、軽やかさに寄与しているでしょうし、フォンダンの優しい甘さも魅力を増していますね。

嗚呼、なんて優雅で美味しいんでしょう。お見事! の一言に尽きますね。





暑い夏場なのに、ゼリーものは“本日のきまぐれ”の1品のみ。ひゃあ、珍しいですね、さすが敬愛する「セセシオン」さん。
生ケーキにしても生地の美味しさを主体にしたものが、ほとんど。“季節ごとのフルーツで季節感を出していますから”とほんわか顔の飯田シェフ。なのに、フルーツを安直に押し出すのではなく、一手間掛けられて、より美味しく提供してもらえるところがさすがです。
この日はお目に掛かれなかったディレクターの吉谷さんともども、味の方向性、最終的な味の見極めには端倪すべからざるものがあります。
1品1品磨き抜かれていて、絶賛すべきお菓子が目白押し。全国でも有数の名店だと、太鼓判を押します。



●『トラウベン シュトゥルーデル』430円  『白桃のミルフィーユ』500円  『アルト ヴィーナー トルテ』360円  『キルシュ クーヘン』360円

●「セセシオン コンディトア アテリエ」
 神戸市東灘区御影2-8-7  TEL078-854-2678  定休日/無休

※ブログ「パイ日和・おまけ」には、このお店のケーキを紹介しています。


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