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zoom RSS ●特集4/2011年盛夏雑感「夏だからこそ ルバーブを!」ルバーブのお菓子、集めてみました

<<   作成日時 : 2011/07/15 21:23   >>

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暑さの中でこそ、冴えてくる味わいがある。そのひとつが、ルバーブではないでしょうか。

夏場、ときおり見かける食材が、ルバーブ。
野菜の仲間ですが、ほとんどの場合ジャムにして食べるので、いわゆるベジスイーツとは違い、無理なこじつけた感がまったくない、ケーキにうってつけの材料。鋭い酸味を持っているため、これをストレートに活かしたり、円やかさを加えて品良く味わわせたり。パティシエの創造力を掻き立てる刺激的な素材と言えそうです。
残念なことに、まだまだポピュラーではなく、たまにしか見かけません。どんどん広まって、それぞれにルバーブの可能性を拡大してほしいなと、願っています。
冷たいもの、水分を取り過ぎて胃が弱りがちな夏。ルバーブは大黄という漢方薬と同種の植物。健胃作用があるので、まさに夏食べるのにぴったりでもあるのです。
これまでのブログで紹介したものの中から、オススメのものをピックアップしてみました。


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●まず基本は、『手作りルバーブジャム』。
ルバーブの半量のグラニュー糖を加えれば、あらよっと一丁上がり。皮を剥く一手間さえ惜しまなければ、あっという間に煮崩れてトロトロねっとりのジャム。
鮮やかな赤色だけで心弾んでしまうし、果物に比べて安いし、美味しさでは負けていないのでとっても重宝します。




画像私たちは北海道、池田町の「ハッピネスデーリィ」というところの冷凍ルバーブ(めずらしく、ここでは赤いルバーブ)を使って作ってみました。
ちなみに、こちらは自家牧場を持つ乳製品販売のお店。
冷凍の『赤いルバーブのチーズタルト』というタルトも購入できます。








では、ルバーブが主役のタルトから。

●神戸元町の「ラ・ピエール・ブランシュ」の『リュバーブのタルト』。
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このタルトは王道で、しかも万人を納得させるような力強い味わい。

壊れそうなくらい脆く(ラフな印象)焼かれたシュクレ。中はルバーブが、ゴロゴロ。上からもろもろのクランブル。粉糖のお化粧。
ほぅ、シンプルの極み。
こればかり100台も焼けばかなり近いものが焼けるのではと、人を生意気にしかねないくらい。
それでいて、これほどルバーブを満喫できるタルトはめったにないのですね。いいなぁ、やっぱり。




●対照的なのが京都、四条烏丸の「エス」の『タルト ルバーブ』。
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簡単に煮崩れる素材の歯触りを残そうという、意欲作。

白ワインのシロップで炊いているというのですが、ほんの瞬間でしょうね。
緑の茎のものでも、炊いていると赤く染まるというのですが、まだどこかに緑を残したようなくすんだ色で止めています。
色合いが少し残念ですが、シャキシャキした食感は面白い。キリッとした酸味を遠慮なく出してるところもいいですね。
たしか中元シェフは、ルバーブを知らないお客さまが多いので、“なに、これ?”と会話が始まればいいな、ともおっしゃっていたように記憶しています。なるほどね。




●珍しく、パイを焼いたのが「大阪ヒルトンホテル」の『ルバーブパイ』。
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ほかに並んでいた『苺パイ』などのように、クリームを使うのではなく、ルバーブ一本槍。シナモン少々。
やわらかな酸味に抑えられ、甘酸っぱさが魅力のパイに仕立てられています。

子供がお小遣いで食べるような日常性が嬉しいし、今回ご紹介する唯一のパイというのもいいですね。
ルバーブに慣れるのには、こういったところから始めてもいいかもしれませんね。





次からはルバーブをメインに据えながら、ちょっとした工夫でルバーブを際立たせているケーキです。

●大阪府豊中市、阪急宝塚線曾根駅から東へ10分ほどのところにある「ヴァン・ブラン」さんの『ルバーブのタルト』。
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オーソドックスにパートシュクレ、ダマンド(皮付き)、ルバーブ。
最後に、アプリコットのナパージュ。
食べ慣れているアプリコットを比較対照に持ってきて、ルバーブの酸味を強調。
抑制することなくルバーブを全面にだしつつ、シュクレとダマンドの甘さでバランスを取っています。

普通、ルバーブを特別視して、日常的なアプリコットのナパージュを遠慮してしまうところ。
そこを軽々乗り越えるあたりに、山品シェフの経験の豊かさが透けて見えます。




●京都市左京区の『エキュバランス』さんの『リュバーブと苺のタルト』。
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苺とリュバーブの赤色が可憐なタルト。
パートシュクレにフラン生地、その中にルバーブ(砂糖でマリネ)と苺を混ぜて焼き込んだもの。

苺が入った分、全体として優しいけれど、ルバーブに当たった時の一瞬のキュンとした酸味が引き立つ仕掛け。
苺のタルトで終わっても十分美味しいところに、まさに画竜点睛。
強い酸味というものは、それだけの魅力を備えているのですね。




●京都市左京区の「アトリエラパージュブランシュ」さんの『タルト フロマージュ ルバーブ』。
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繊細さと大胆さの同居が魅力のお店。
このタルトはどちらかというと繊細さがメインになったもの。

夏のタルトとして、冷たく味わえる良さが狙い。
冷たくしたチーズタルトを爽やかに食べるための鋭い酸味として、ルバーブが選ばれています。
冷やしても、まだホロホロの食感を失わないシュクレの出来も出色。
チーズの隠蔽力でルバーブの酸味は抑えられていますが、品のいい爽やかさは新たな側面と言えるでしょう。




●滋賀県守山市の「W.ボレロ」さんの『ルバーブと木苺のタルト』。
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フランボワーズも加えています。
繊細なシュクレにほんの少しのダマンド、ルバーブを炊いたもの。
お手間要りなことに、小さな空洞に1個1個ジャムを詰めたフランボワーズが9個。
そして無糖のクレームシャンティをたっぷり。

鋭い酸味に奥行きと幅を持たせるために、もう一つ酸味を加えているのです。鋭い酸味をスキッと、複雑微妙な味わいとして食べられる良品。
ですが、ついついフランボワーズの中のジャムに気を取られるという、じつはフランボワーズのほうが主役のケーキ。ルバーブは、酸味のグラデーションの役割を担っているようです。




●先日紹介したばかりの「ロトス洋菓子店」の『ルバーブのタルト』。
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可愛くて、お洒落な姿のタルト。
ブリゼ、フレッシュのルバーブをアパレイユで和え、上にルバーブジャム。メレンゲをきれいに飾って焼き色をつけて。

木村シェフは、酸っぱいものはちゃんと酸っぱく派。
わぁ、すっぺ〜っと一瞬感じるのですが、上に乗ったメレンゲが包んでくれます。
メレンゲが軽さを出しているのが、ほかのお店にはないところ。レモンタルトのアレンジともとれそうです。
にしても、鋭い酸味を優しく軽く味わわせてしまう手腕は、新人らしからぬ老練さです。




ねっ、食べてみたくなってきたでしょう。ほーら、だんだんその気になってきたっ、かな?
暑い季節に見掛ければ必ずといっていいほど、食指を動かされているのに、あまりルバーブものに出会えません(ジャムはいくつかあるのですが、誰が炊いてもほとんど一緒ですから対象外)。
シェフの多くも、“ルバーブを使ったの、あんまり売れないんですよ”と哀しげ。一度食べれば癖になる美味しさだけに、ぜひ広がって欲しいものです。
日本ほど世界中の料理、食材が食べられている国も少ないでしょう。全国津々浦々どこへいっても、和食、和菓子しか食べない地域などありえません。それほど知らない食べ物を取り入れるのに積極的な民族であり、食文化なのに、どういう訳かケーキの世界では、知らないものは食べずにいよう、という御仁が多いようです。どうか殻を破って欲しいなぁ。
それに、なんといっても、食べ手が積極的になると、当然お店も積極的になり、いろいろ面白いものにどんどんチャレンジしてくれるようになります。パティスリーがつねにアクティブでもっともっと面白い存在になるはず。
だって、ほとんどのお店が、持てる力を出し切れずにいるのが現状ですからね。みんなでどんどん食べて、ハッパをかけましょう。


※ご紹介したルバーブ菓子の情報は、ブログにアップした時点のものです。すでに製造していなかったり、価格も変わっているかもしれません。ご了承くださいませ。

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