パイ日和

アクセスカウンタ

zoom RSS ウタコUTAKO (1)『チェリーのクラフティー』『アマンディーヌ』『サントノレ』『タルトバナンヌ』

<<   作成日時 : 2011/07/04 21:28   >>

トラックバック 0 / コメント 0

JR京都線摂津富田駅からほぼ線路沿いに西へ3分ほどのとこにある「パティシエール ウタコ Patissiere UTAKO」さん。2011年3月20日オープンです。
じつは、おなじ高槻市の「ROUTE271」の船井シェフと話していたら、“駅の近くにいい店が出来ましたよ”とお薦めのケーキまで教えてもらったのです。

下校時の小学生が今日の品揃えを外から毎日見て帰る、というファミリー層の需要に対応したお店ですが、よく見るとなかなかどうして、本格的な修業の腕と見識が発揮されたケーキばかり。
フランスの伝統菓子のシンプルな美味しさをベースに、旬のフレッシュフルーツを盛り込んだケーキまで。私たちは、ついつい焼きっぱなしや焼菓子に目が釘付けになったのでした。


●『チェリーのクラフティー』 辺7cm 高さ2.8cmほど。
画像
サクサクのブリゼ生地にフラン生地を流し、アメリカンチェリーをたっぷり入れて焼き上げています。

チェリーの酸味が弱い分、優しいフラン生地を選んだことで、しっかり主役を立てることに成功しているのではないでしょうか。
十分に焼けたブリゼは小気味良く崩れてくれるし、塩気がほどよくフラン生地とマッチしています。

さて。アメリカンチェリーの風味を抽き出すのに、けっこう繊細な技を使っています。
チェリーは2時間ほどアルザスのキルシュ(イルプルー取扱い)に漬け、フラン生地には、チェリーのオードヴィを隠し味に。これだけで風味が増し、味わいの輪郭がクッキリするのだそうです。

そういえば、普段食べるアメリカンチェリーより、甘いくどさがなく、スッキリと切れのいい味わい。

着地点を見定め、材料の実力を見極め、長年の修業で得た技を惜しみなく使ってくれています。いいですね。




●『アマンディーヌ』 径6.5cm 高さ2.6cmほど。
画像
パートシュクレにフランジパーヌ、スライスアーモンドというところまではよくあるアマンディーヌ。
表面に、アプリコットナパージュする代わりに、タルト台にフランボワーズのジャムを薄く塗っています。

これには、こぼれ話が。
じつは万博公園の野外イベント用に作ったもので、持ち運びしやすいようにと、酸味の決め手をケーキの内側に仕込んだのです。
そうすると、表面のアーモンドスライスも芳ばしくなるし、必要から生まれた新しい味わい。

シュクレがホロホロと気持ちのいい食感。
フランジパーヌのふっくらと柔らかな甘みを楽しんでいると、フランボワーズの一瞬の鋭い酸味と、ほんのときたま種の食感に当たるのが変化があって面白いです。





●『サントノレ ピスターシュ』 径8cm 高さ7cmほど。
画像
底生地にパイが使われているのでこちらで紹介します。
こちらのお店としても、一般的にも当然シュー菓子の範疇。

定番の『シューパリジャン』のほかに、この『サントノーレ』や『エクレール』『パリブレスト』『ルリジューズ』など、シュー生地の伝統菓子を順繰に作りたいとのこと。『ポルカ』や『ペドノンヌ』など、名のみ高いお菓子も作ってくれるといいな。待っています。

はてさて、話を『サントノーレ』に戻しましょう。

濃厚なカフェやカラメルのクリームのものが流行るなか、軽い味わいのピスタチオのシャンティを持ってきています。
全体に軽快な方向にシフトしていて、プチシューも表面にカラメルを付けるのみで、なかにはカスタードを入れないまま(もちろん、サントノレ自体の中央にはカスタードは入っています)。

軽いラインですべてが調和していて、パイ生地もフィユタージュではなくパータ・フォンセのような無味に近い地味なものにしています。

こうすることで、シューの香りと、淡い味わいなのにピスタチオが香るという、ちょっと驚きの結果を手に入れています。




●『小宮さんの タルト バナンヌ』 径5cm 高さ5.5cmほど。
画像
二つだけの通年の定番があるそうで、それがこの『タルト バナンヌ』。
もうひとつは『シューパリジャン』なのだとか。

ダマンドを詰めて茶色っぽくしっかり焼き込んだシュクレ。
そのアーモンドタルトの台にカスタードを塗り、甘熟のバナナのスライス、その上からたっぷりのシャンティ。

あらっ、この姿は、どこかで見たような。
そう、大阪・阿波座の「ア・キャトル」さんの『タルトバナヌ』ですね。

こちらの店主の中塚雅子さんの修業先でもあるのです。
“「ア・キャトル」ではシュクレにライ麦ミッテル(中挽き粉)が入っていましたけど”と種明かししてくれました。じゃ、ご本家の味わいはシュクレがもう少し濃厚で、舌触りも少し粗いものだったのかな。記憶が朧気です。

バナナはフィリピン産ですが、小宮さんという人が監修したもの。
これがとても美味しい。甘さもさることながら香りの豊かさに惚れ惚れします。
上にたっぷりかかったシャンティにも香りがしっかり移っていますね。ダマンドやカスタードの甘さにも負けない強さがあります。

かといって、けしてくどいお菓子ではありません。バナナの豊かな味わいを素直に楽しめるタルトなのです。




中塚雅子(うたこ)さん、素敵な名前ですね。雅楽の頭と書いて“うたのかみ”と読むのは高校の古典の時間に習ったような。なんでも、名付けたお祖父さんが教養のある方だったようです。

小学生の時からお菓子好きで、教室まで開いていたとか。5年生のとき、クラスの友人のお母さんたちの特技を聞いて回り、一人ひとり話しを付け(!)、料理や手芸など格安の教室開催に漕ぎ着けたのです。小学生版文化教室のプロデューサー。
そのなかの一講座“お菓子教室”は自分で引き受けたというのですから、大したものです。“クッキーくらいなんですけどね”とこともなげに笑っていますが、そんなことができる小学生って、そうそういるものではありませんよぉ。

目標を持って、辻製菓専門学校、フランス校へ。そこで元「ヴィーナーローゼ」オーナーシェフの横山牧子教授にならったり、南草津の「プティポワン」中野シェフの奥様、和子さんと同級生だったり、その後勤めることになる「ア・キャトル」(独立直前の中野シェフとはほとんどすれ違い)では「ムーラタルト」の吉野シェフと同僚と、なんだか古い友人に出会ったような親しさを感じました。

実のある紆余曲折を経て、お店をオープンする前8年間はケーキ教室を開いていたそうです。地元高槻の生まれ育ちで、UTAKOといえば“あのケーキの”と思い出してもらえる有名人でもあるようです。小学生時代からのファンや教室のお弟子さんを含めて、開店当日は記録的な行列だったといいます。

こういう話を聞くと、最近の若いシェフに比べると少し遠回りはしたけれど、なんだか幸せな想い出の詰まったケーキに出会えそうな気がしてきます。
どんどんいいケーキを作ってファンの層を大阪、関西へと広げて欲しいですね。



●『チェリーのクラフティ』180円  『アマンディーヌ』200円  『サントノレ』380円  『タルト バナンヌ』380円

●「パティシエール ウタコ Patissiere UTAKO」
 大阪府高槻市富田丘町13-18  TEL072-601-6175  定休日/火曜

※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/201107/article_2.html)にも、このお店のケーキを紹介しています。よかったら、どうぞ。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ウタコUTAKO (1)『チェリーのクラフティー』『アマンディーヌ』『サントノレ』『タルトバナンヌ』 パイ日和/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる