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zoom RSS ジャック(2)『タルトレットシトロン』『タルトレットグロゼイユ』『タルトフロマージュ』『シブースト』

<<   作成日時 : 2009/07/20 21:27   >>

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福岡市中央区、地下鉄赤坂駅のほぼ真上にある「ジャック」さん。
元々、有名店ですが、食べる回数を重ねるごとに、どんどん魅入られていくような気がします。
久しぶりの帰郷の慌ただしい時間のなか、またしても寄ってしまいました。名前だけですでに垂涎の的になってしまっているパティスリーですが、食べてみるとやはりその美味しさに、口に溢れ出てくるものがあるのでした。


●『タルトレット シトロン』 径6.8cm 高さ2.5cm(土台)ほど。
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表面にメレンゲを絞り、フランボワーズとローズマリーの飾り。
パートシュクレの土台にレモンクリーム、さらにパッションフルーツのジュレを射込んであるだけで、クラクラとしてしまいます。

が、さらに一番底の部分にほんの少し、薄くチョコレートのガナッシュが敷かれているのです。
こそっとチョコレートを使う手の掛けように、ホホーッと思わず唸ってしまいました。

レモンの酸味が利いているところへ、さらにパッションの刺すような鋭い酸味を遠慮なくぶつけてくるだけでも、酸っぱいもの大好きとしてはもう堪えられないのですが、
そのジュレがなんとまぁ、ペパン入り。ガリッ、とした食感を伴って、強く主張してきます。

ひゃあぁ凄い、とびっくりしていると……メレンゲの甘味でやや緩和すると同時に、チョコレートの甘苦さがじつに効いてくるのです。
酸味だけの単調さを補い、幅と奥行きが突然現れてくる感じ。所謂、“レモンだけのタルト”から数段駆け上がったような印象。それも、軽やかなステップで。いゃあ本当に凄い! 

粗野と呼びたくなるほどの力強い主張の裏に、繊細な配慮が隠されている、その趣味の良さにほとほと感心してしまいました。逸品ですね、ふうっ。




●『タルトレット グロゼイユ』(期間限定) 径6.5cm 高さ5cmほど。
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このタルトレットはシトロンに比べて、シンプルな作り。

パートシュクレにクレームダマンド、グロゼイユ(赤すぐり)のジュレを隠した上にカスタード。
トップにはグロゼイユの実をたーっぷり。
天辺に、小さな小さなカシスの実でしょうか一つ、色のアクセント。セルフィーユがちらり。

グロゼイユの小気味良いほど刺激的な酸味を楽しむための、タルトレット。

この個性的な赤い実の、かすかなエグ味すら美味しさに感じさせてしまう凄技。小さなサイズも当然と思える主張の強さ。
それを可能にしているのが、シュクレとダマンドの強い甘さ。
グロゼイユの主張の強さに合わせて、シュクレに強い個性を発揮させています。アーモンドプードルも加えているのでしょうか。香りがあり、味のあるタルトレットになっています。
ダマンドはしっとりとした濃厚な味わいのもので、量的にも少し多めに、たっぷり使われていて、はっきりアーモンドタルトのベースがあると感じられるレベルのものです。

アーモンドタルトとグロゼイユ。
シンプルな組み合せですが、二つの強い個性が出会った、この時期だけの幸福感に溢れたケーキと云えるでしょう。





●『タルト フロマージュ カマンベール』 辺9.8cm 高さ最大4cmほど。
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アルザス地方に伝わるチーズのタルト。

チーズにはカマンベールを使い、焼き上げた後に、フランボワーズのジュレをアクセントに流しています。
チーズのアパレイユの茶色い焼き色の上に、赤いジュレなので、くすんだ地味な色合い。いかにも田舎のケーキといった風情です。

パートシュクレはよく焼き込まれた、いい風味。甘味を抑えた地味な味わいですが、存在感のある風味と言えるでしょう。
チーズの風味も濃厚。酸味や卵などアパレイユに含まれているだろうと思われるものはかなり控えめなのか、カマンベールそのものといったストレートな味わい。それ自体かなり満足度の高いものに仕上がっています。

ジュレがたしかにアクセントになっているのですが、せっかくのチーズの風味を覆ってしまうような気がします。
もちろん、それなりに美味しくはあるのですが、ジュレが入った味わいはチーズが苦手の人向けの味になってしまっているようで、ちょっともったいなく感じましたが…、さて。





●『シブースト オ ポム』 径6.8cm 高さ4.8cmほど。
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シブーストクリームって、こういうものだったのか!? 

最近、シブーストクリームを使うパティシエが増えていて、よく出会っています。
それなりにいつも美味しくて、こんなに美味しいものは誰でも使いたくなるよね、と思っていたのです。

ところが、なのです。
こちらのシブーストを一口食べた瞬間、もう“目が点”という状態。
食感の強さと心地よさに、しばし声が出ないほど……。

ご存知のように、シブーストクリームはカスタードとイタリアンメレンゲを合わせたもの。甘味たっぷりで軽やかな感触が特色。でも今まで口にして来たものをつらつら思い起こすと、軽やかさにクレームシャンティとの差をあまり感じないものばかり。

しかし、このシブーストクリームは、絶品!
まず白身臭みが一切ないこと。これは本来当たり前のことですが、時折出会ってしまうのです。いや、そんなレベルの話はどうでもよろしい、という感じ。
もっとも素晴らしいのは、メレンゲの弾力。
口に含むとホワッとクリームの方から押し返してくるような強い弾力を感じるのです。そしてその直後にはスーッと消えていく軽やかさと得も言えぬ空気感。はふうぅ〜、陶然としてしまいます。

そうか!! これなのか、この存在感なのかぁ、
と今さらながらシブーストクリームの真価に目覚めたのでした。素晴らしい、なんてものではないですね。発明したシブーストさんも、しっかり再現している大塚シェフも凄いの一言です。

パイ生地のタルトに、カスタードというか卵主体のアパレイユというかを流し込んで、リンゴの果肉を置いて焼き、シブーストクリームを載せ、天辺をカラメリゼ、フランボワーズの半割りを飾っています。
ケーキ全体としても本当によく仕上がっていて、バランスの良さにうっとりします。

とくに香りの点でカラメル、シブーストクリームのヴァニラの香り、リンゴの風味、そしてパイの豊かな焼成香。4つの香りが順次感じられて、とてもよくまとまったアンサンブル。香りの競演が聴こえてくるようです。
落着きがあるのに、それぞれ一つひとつが胸騒ぎさせるような徒な色香を供なっているような、臈たけた魅力がたっぷり。これに惚れなくて、どうします?



完全にノックアウト状態。といっても、夢見がちにマットに沈んでいきました。
ショーケースの下段には、22種の生ケーキ。キャトルカールの半生菓子数種類、キャラメル、マカロン、パートドフリュイ、焼菓子、焼きっぱなしのパイ、アイスクリーム。それに、金土限定のクロワッサンなどのヴィエノワズリーなどなど。
よろよろと立ち上がりながら、お次はどれにしようかな、と思案中です。

今回改めて思ったことは、素材の組み合せの思い付きだとか、外見的なことよりも(それも当然素晴らしいのですが、あえて言えば)、基本となる生地やクリームが圧倒的にとてつもなく高いレベルにあるのだな、とつくづく思い知らされました。



●『タルトレット シトロン』450円  『タルトレット グロゼイユ』400円  『タルト フロマージュ カマンベール』450円  『シブースト オ ポム』460円

●「パティスリー ジャック」福岡市中央区大名2-12-5  TEL092-712-7007  定休日/日曜

※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/)にも、このお店のパイ以外のお菓子を紹介しています。よかったら、どうぞ。

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