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パイ日和
シェ・ノグチ『ミルフィーユ』『和栗のモンブラン』
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作成日時 : 2008/11/20 17:23
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兵庫県尼崎市、JR福知山線塚口駅から東へ10分あまりのところにある「シェ・ノグチ」さん。
製菓学校の副校長も務める野口守シェフは一つ一つのケーキにたいして、素材の使い方、技術の発揮の仕方それぞれについて、精密な認識の下にケーキ作りを進めている人。
一度説明を求めると、滔々と素材のどの特徴を活かすために、生地はどうするか、何℃で焼くか、など1℃単位、ミリ単位と言いたくなるほど精確。しかも、科学的に裏付けられているという印象なのです。
それぞれのお菓子が美味しいのはもちろんですが、ケーキとはそこまで精妙に考え抜かれて作られるものか、と一種感動ものの体験が待っています。たまたまお話が聞けてとてもラッキーでした。
●『ミルフィーユ』 3.5×10cm 高さ4.5cmほど。
アンヴェルセで折られたパイ生地が3段。
表面を軽くカラメリゼしてあり、軽いチャリチャリとした食感が楽しいアクセントになっています。
サクサクとほどける軽さが快感。
う〜ん、バターの香り、生地の焼けた香りも濃厚です。
カスタードは生クリームを加えたクレーム・レッジェール。
生クリームはそれほど多くないようで、カスタードのポッテリ感も残されています。ふっくらと大らかな甘さ。
生地とクリーム、ただただ、それのみ。王道のミルフィーユです。
そのパイ生地とクリームがシンプルながら力を持っていて、お互い対等の関係。しかも一緒に口に入れるとバランスの良さを実感できます。ん、なんともいいですね。
おやっ、一番下の生地の底に縦に溝が2本刻まれていました。
今回、説明から漏れていたのですが、生地を焼く時に火の通りをよくするための空気穴、煙突のような効果を求めている、と想像しているのですが、どうでしょう。
次回、チャンスがあれば確認してみたいと思います。またまた、詳しく緻密な説明にただただ圧倒されるかもね。
●『和栗のモンブラン』 径7cm 高さ6.8cmほど。
モンブランは“おまけ”の方でご紹介すべきなのでしょうが、パイクラムが使われているという微妙な理由で、ついでにここで紹介してしまいます。
ヘーゼルナッツのビスキュイ、の上に中心部には、パイクラム入りのバタークリーム、ビスキュイの外側にもパイクラム。
上部は和栗のクリーム。チョコレートのプレートが飾られています。
ビスキュイは生地自体は薄く、それをロール状に巻いてあり、バタークリームが挟まれています(ロールケーキのスライスを寝かしたような形状)。
では、一口。うんうん、和栗(愛媛県産)の香りがよく生きていて、
“ああ、モンブランはやっぱりこの香り〜”なのですよねぇ、とにんまり。
ほとんどお酒を使わないお店なのですが、ここではめずらしくラム酒を使って風味の豊かさを抽き出しています。
バタークリームもパイクラムのおかげで奥行きの深い味わい。
そして、水を一切使わずに焼くというヘーゼルのビスキュイが、芳ばしい香りを放っていて、一瞬、栗の香りを消してしまうのでは、と思いましたが、杞憂。やはり野口シェフは違います。
栗の繊細な香りが、ヘーゼルの野太い匂いと同居できるとは。というより、栗の香りがより一層力強さをもらっているようにさえ感じられます。
ラム酒、ヘーゼル、パイクラム。すべてが栗を脇から支えてより一層美味しく感じさせている、すばらしい仲間たち。勝負はこの絶妙のチームワーク。
シェフらしい精妙な構築法だと、ひとしきり感心させられました。
お酒について、リキュールのフルーツなどの香りは本物とは別の香りだから、一切使わないそうです。使うのはオードヴィ、ウイスキー、ラムなど限られた種類。
その代わり、使うものは最高級のもので、香りの優れたもの。それによって、味を引き締め、素材の持ち味を抽き出すことにのみ。今回のモンブランも、その技によって和栗の魅力がぱーっと花開いているようです。
●『ミルフィーユ』380円 『和栗のモンブラン』480円
●「シェ・ノグチ」
兵庫県尼崎市若王寺2-36-1 TEL06-6493-6100 定休日/水曜
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