|
続々、フランスで人気のパン屋が日本に上陸してくる。東京・渋谷、道玄坂を少し登って緩いカーブを曲ったところにある「ヴィロン VIRON」は少し毛色が変わっていて、フランスの製粉会社の名前。兵庫県のパン屋がそこの粉を気に入って、そこの粉だけで作るパン屋を展開しようと目論んだ店。本格的なリーンなパンだけてなく、惣菜も菓子も充実している。 本当は菓子が欲しかったのだけど、上野鈴本で小三治を聞いてからぐるっと山手線を半周廻って行ったので、もう9時を大分過ぎていて、欲しいものが無くなっていた。夜10時まで販売し、2階のブラッスリーでは12時まで食べられるという、なんともありがたい店。ではあっても、やはり遅すぎた。 そこで、ホテルに持って帰って夜食ということで、惣菜的なものをいくつか選んでみた。 ●『キッシュ』(シャンピニオン) 径9cm 高さ2cmほど。 ![]() 生地はおそらくパータフォンセ。 アパレイユは卵、牛乳、生クリーム、パルメザンチーズといったところか。 標準的な仕様だと思う。 そこへシャンピニオンがたっぷり。 その旨味とコクが素晴らしい。キノコのなかでも旨味が豊かなものの筆頭クラスの、その旨味を完全に引き出している。 フランスの本場は塩を限界まで当てているよ、 とばかりに塩辛いキッシュによく出くわすけれど、ここのものは食べて美味しいを目指しているのか、円やかな塩の使い方。本当に塩梅よく、シャンピニオンの美味しさに貢献している。 そうなると、平凡そうなアパレイユもシャンピニオンを受け止めて、豊かさを強調してくれる。 生地、アパレイユ、トッピングのベストの味わいが追求できているのではないだろうか。印象に残るキッシュ。 ●『タルトブリオッシュ』 辺10cm 高さ4cmほど。 ![]() かなり腹が減っていたので、ボリュームのあるこれを選んだ。 タルトの生地としてブリオッシュが選ばれている。フランスでは肉気の惣菜にブリオッシュはよくある組合わせのようで、フォアグラ料理とともに供されたりもする。 フィリングは生ハム、ナス、卵。重いアパレイユを上から流して焼いている。 それぞれは悪くはない。ただ全体の味の濃度が、どこにコントラストがあるのか不明の味付けになってしまっていて、結果としてブリオッシュの甘さ、少しボソッとした食感が浮いてしまった。 まあ、ボリュームの点では所期の目的を果たしている。けれど、キッシュが美味しかっただけに、もう一工夫で同じレベルになるのだろうに、とちょっともったいない気がした。 食事パンを白いご飯だと考えると、いろいろおかず風のものも揃っていて、夜遅くまで開いている。これはひょっとしてタクシーの運転手相手のメシ屋と商売の形態が似ているのでは? と下世話に考えてしまった。 少し高いとは思うけれど、こういう形態が受け入れられたということは、パン食を中心とした食事が日常に根ざしてきたということだろう。ほんの端っこを齧っただけだけど、そういう地に足の付いたゆとりと腰の座った実力を感じた。 ●『キッシュ』(シャンピニオン)420円 『タルトブリオッシュ』400円 ●「ヴィロン VIRON」 東京都渋谷区宇田川町33-8 TEL03-5458-1770 定休日/無休 ※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/)にも、このお店のキッシュ以外のパンを紹介しています。よかったら、どうぞ。 |
| << 前記事(2008/06/16) | トップへ | 後記事(2008/06/22)>> |