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zoom RSS ボン・ヌーヴェル (2) 『アレヴ』『アプト』

<<   作成日時 : 2007/09/14 22:16   >>

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阪神・石屋川駅から程近い「ボン・ヌーヴェル・ラ・ガトー」さん。このブログにはほぼ1年ぶりの登場です。
前回(06年8月28日)は、田中シェフが冒険的な味で勝負しているのが阪神間ではめずらしい、ということで紹介したのですが、やはり客層からは浮いていたようで、その後、シェフが安城在(あん・そんじぇ)さんに交代しています。
安心して食べられる味に軸を移したとの情報を得て、今回はその具合を見てきました。


●『アレヴ』 径6cm 高さ10cmほど。
画像変形版のミルフィーユです。
底に堅く焼いて表面にチョコレートをコーティングしたパイ生地。その上にスポンジ生地。
そして、生クリーム入りのカスタードをほんの少し、苺スライス。この繰り返しを三度。
さらに、苺パウダーを入れたのかなと思える酸味のある(もちろん甘みも)ムースリーヌで表面を覆い、トップに生クリーム控えめのカスタード。
サイドにパイ生地を貼り付け、飾りには苺とオレンジのコンポートのみじん切り。

なかなかユニークなスタイルです。
お店の製造のスタッフが接客も担当していて、とても明るく親切に説明してくれる女性でした。
その話によると、映画“東京タワー”を上映する映画館とのコラボレーションで誕生したのだそうです。たしかに、タワーのように背が高いミルフィーユ。『アレヴ(allez-vous あなたのところへ行く)』というネーミングも、凝っていますね。
この頃は、ケーキの誕生の仕方もいろいろですね。

さて。味ですが、たしかに安定した分かりやすいものになっています。このケーキ一つで断定するのも蛮勇というものでしょうが、(前回紹介した『センチュール』という名のミルフィーユと比べて)カスタードの扱いが変わっているのではないかという印象を抱きました。
全体量に占める割り合いと甘さが、いずれも以前より増していて、ケーキ=甘い、というイメージを裏切らないこと。その甘さにたいして十分な酸味をムースリーヌに加えていること(苺もちゃんと酸味のあるものを選んでいます)で、大人の味わいの世界に足場を置いたまま、安心感のある世界を作り出しているのではないでしょうか。
カラメリゼされたパイは少し固めのザクザクという感触。全体の少し濃いめの味わいとうまくマッチしています。




●『アプト』 辺10cm 高さ4cmほど。
画像これはフランスの地名だそうです。
元々、フランスの伝統菓子をベースに品揃えしたいというコンセプトがあるそうで、このような商品名になったとか。

名前はあまり馴染みがありませんが、中身は見ての通りバナナタルト。
シュクレにチーズ風味のアパレイユ、カラメリゼした筒切りバナナ。
そして、バナナに一工夫。
ラム酒以外にココナッツのリキュールが加わっています。それで、トップにはローストしたココナッツが添えられているのですね。
クルミも一かけ。濃厚さを意識した構成になっています。

でも、食べた印象ではさほどでもなく、チーズのコクとバナナの濃厚さがバランスが取れていて、意外に軽く感じます。大振りですが食べやすく、ペロリと入って行くところが魅力でしょう。
ただ、バナナ、ココナッツ、ラム、チーズ、クルミと香りのものが多すぎて、少し印象が散漫になって損をしているのかな、惜しいなぁというのが正直なところ。
いえいえ、けなしているのではありません。どんどんレシピを改善する勢いを持っていると思うので、もっと美味しくなれる余地のあるケーキだと言いたいのです。このお店には期待しているからこそ、の感想です。




新展開は、分かりやすい味という着地点にうまく降り立っているように思います。
ただ、ケーキ類の価格を見ると、つい冒険的な鋭い味が欲しくなるところもあり、ケーキを売るということは大変な仕事だと考えさせられます。出店の地域と、味や品揃えの傾向、価格、接客、などなど。いろいろな要素を一つにまとめてお客にどう伝えるのか、その答えをうまく出したお店が大成功への道を歩むのでしょう。
こちらはここで立ち止まらずに、磨きがかかっていくお店だと思います。安シェフもお若いようですし、どんどんチャレンジして欲しいですね。お店の接客の感じの良さはピカイチだけに、今後の発展に期待したくなります。

今回接客してくれた若い女性のパティシエ(あぁお名前をお聞きすれば良かったな)の明るさ、知識、意欲は今まで多くのお店でたくさんの方と接して来ましたが、その中でも目立っていました。とても気持ちのいい清々しい応対。そしてなにより、自分たちで作ったケーキを誇りにし、愛しているのが伝わってきます。おかげで商品選びが楽しかったことといったら…。
このようなスタッフがいれば、徐々に大人向けの少し凝った味わいのものも、地元の理解が得られるようになるでしょう。根気のいる仕事ですが、ぜひやり遂げていただきたいです。



●『アレヴ』450円  『アプト』420円

●「ボン・ヌーヴェル・ラ・ガトー」
 神戸市灘区記田町3-2-15  TEL078-857-7342  定休日/不定

※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/)にも、こちらのパイ以外のケーキを紹介しています。よかったら、どうぞ。

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