パイ日和

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help リーダーに追加 RSS 一善や『アップルパイ』『紅玉リンゴとチーズのタルト

<<   作成日時 : 2006/11/05 22:55   >>

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京都北白川に本店のある「一善や」さん。
オーナーはほとんどどこでも修業経験のない方。その代わり徹底して素材選び、扱いにこだわる方です。ご自分が納得するまで追究を止めない。本当に自信をもって美味しいと思えるまで商品にはしないという信念を貫いていらっしゃるようです。
一つ質問をすると詰まりに詰まった蘊蓄を語ってくださるのも、このお店の魅力の一つでしょう。
なお、京都以外には、鳥取市にもお店があり、その他「鳥取大丸店」や「西武大津店」にも出店されています。

画像●『アップルパイ』 一辺9cm 高さ(最高)6.5cmほど。
このお店の最初のヒット商品だそうです。
ずいぶん人気で年中要望があるようですが、紅玉が青森の契約農家から送られてくる10月半ばから3月いっぱいの季節限定商品(今年は暖冬のため、2月いっぱいとなりました)。
生の紅玉から焼き上げるのでなければこの美味しさは出ない、下手な貯蔵法に頼ってしまっては、この味を求めている人を裏切ってしまうということのようです。
年中出せば売れるでしょうに、それを頑に拒絶して信念を通していらっしゃいます。
それというのも、この『アップルパイ』が心底美味しいからです。
パイは手折で醗酵バター使用。紅玉は皮を剥き、半割りにして芯を抜き、少し切れ目を入れて、半個まるまるをパイ生地に乗せて焼くだけ。間にスポンジを敷きシナモンを振ってありますが、リンゴには砂糖もバターも不使用。

えっ? 砂糖もバターも? ほんとに〜? 驚きです。?マークが額に張り付きそう。
焼くことで紅玉の強烈な酸味が甘味に変わる。その甘酸っぱさこそがアップルパイの魅力。その王道を一直線に進んだものです。固まりのまま、じっくり火を通すので、水気の出ない青森産の選びに選んだものでなければならないのだそうです。
もっとも単純でいて、誰も成功しなかった方法ではないでしょうか。どうしてもなんらかの手を加えたくなるところをググッと我慢した自信作です。
ご主人の中村さんは、「京都ならではの洋菓子」をとおっしゃいます。
その意味はこのアップルパイに代表されるような引き算の技。京料理に通じる、素材の旨味を知り抜いた上で、必要なもの以外を省いてしまう潔さ。そのことでより以上に強調される素材の魅力。千年の都に伝わる深い精神といえるでしょう。

いやはや、なんとも言えないりんごの旨みがぎゅっと詰まった鮮烈な美味しさ、どうしようもなく幸せ…です。

誕生秘話がまた面白く、タルトタタンを作ろうと思っていてひっくり返すのを忘れていて、出来上がったというから、一周回って元に戻ったようなお話。
タルトタタンも失敗から生まれたお菓子、どこに成功の種が落ちているか分からないものですね。

※写真をご覧ください。表面の中央、焼けているのはパイ生地ではなく、リンゴの焼け色なんですよ。ショーケースを眺めているときはパイ生地をかぶせてあるものだと思っていました。表面、濃いめのアプリコットのナパージュで覆われていて、パイ生地のように見えてしまいますが。なお、このナパージュも品のいいきれいな酸味です。



画像●『紅玉リンゴとチーズのタルト』 一辺10cm 高さ3cmほど。
リンゴを使った見事な模様! 
こちらは青森産の紅玉を待ち切れずに、信州産の紅玉で作られています。スライスされているので、信州産のものでも十分に美味しく調理できるとのこと。
甘いタルト生地、クリームチーズのクリーム層、表面のリンゴのスライスにアプリコットのナパージュ、ほのかなブランデーの香り。
すべて相性がよく、バランスもとれて、濃厚でいながら落ち着いた味わい。
チーズを入れたアップルパイはわりと見かけるので、この組み合わせ自体はめずらしくありませんが、きれいな見せ方とともに成功しているケーキですね。



画像●『いちじくのタルト』 直径7cm 高さ7cm弱(イチジクの柄のところまで)ほど。
無花果、豪快に一個どーんと。
タルト生地を手で器状に持ち上げてイチジクを包み込んだ形がユニークですね。
タルトは甘いサブレタイプ。クレームダマンドとカスタードを敷いた上に赤ワインとラム酒に浸けたイチジクのコンポート。
ごくごくシンプルな構成です。イチジクのねっとりしたうま味がコンポートすることでさらに深まり、カスタードとクレームダマンドの柔らかな甘味によって覆われて、より一層、コクが出ています。秋の恵み、たっぷりと。



鳥取店限定商品の『らっきょうパイ』の話にしても、青森の契約農家を見つけるまでのお話も、何段もある大物語のようです。
興味はありましたが、それを全部聞いていたらたちまち1時間、2時間くらいは過ぎてしまうでしょう。そろそろ陽も短くなってきたこの頃、後ろ髪を引かれながら途中でお暇してしまいました。続きは、再訪ときのお楽しみに。



●『アップルパイ』470円  『紅玉リンゴとチーズのタルト』452円  『いちじくのタルト』525円

●「一善や」(本店)
 京都市左京区北白川京都造形大学西入ル疎水角
 TEL075-701-8110     定休日/無休

※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/)、はじめました。よかったら、どうぞ。

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